2014年8月11日月曜日

サービスデザインとは? vol.2

会社を設立した際、手作りでHPを作成した。専門のwebデザイナーがいないため、サービスデザイン研究所として打ち出したいことを、どのように視覚的に表現するかに非常に苦労した。図柄、表、グラフ…様々なアイディアを出してみたが、どうもしっくりこない。そこで当面は『文字』で表すことにした。
そのひとつが、
”サービスデザインとは、お客さまの喜びや感動を創造する、ココロとモノの調和のとれた“かたち”を構築することです 。”
 強調したかった1つめは”調和”である。”調和”とは「うまくつりあい(match)、全体が整っていること。いくつかのものが矛盾なく互いにほど良いこと。(harmonious)」(広辞苑より。括弧内は筆者が付加したもの。)とあるが、私達は、この”調和”はサービスデザインを創り出す、あるいは提供する上で必須であると考えた。

当時は、すでにCS活動(Customer Satisfaction)は一般的になりつつあったが、サービスに対する認識はさほど進んでいなかった。すなわち、
「CS=直接顧客接点をもつ部署が感じの良い応対をすればよい」
「CSアンケートの結果を見て、悪い部分を改善すれば良い」
というサービスを部分(点)でとらえる考え方が根強くあった。
サービスデザインは、そういった考え方を払拭し、『誰に、どのような価値を、どのように提供するのか』というサービスコンセプトをしっかり作る。そして、それを顧客が実感できるようにするための入口から出口までのサービスプロセスを作り上げ、仮説‐検証を通じて進化させていく。つまり、部分ではなく全体が調和して、初めて価値提供が出来るという考え方を強調している。

そしてもうひとつ強調したかったのは「ココロとモノ」という点である。「物理的にも動線としても無駄なく調和が取れているから、問題ないでしょう」というスタンスでは本当の意味での顧客価値は創造できない。そこに必要なのは、デザインする側とサービスを提供する側と同時に、それを体験し、価値を享受する側のココロである。サービスを体験するプロセスの中で、お互いにどのようにココロが動き、満足感や幸福感を感じるか…、すなわち、上記で”喜びや感動”が生まれるか、それも含めたデザインであることが大切だと感じるからである。

しかし、これも想いはあってもなかなかうまく表現ができない。困っていると手をさしのべてくれる人がいた。大学時代の同僚である。HPへの支援者メッセージを依頼したところ、以下のような文章を寄せてくれた。
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「サービス」というものの核心にあるのは、他者に対する共感だと思います。自分以外の人々が何を求めているのか。何をしてあげることが他者にとってもっとも便益を、あるいは満足を、さらには「幸福」をもたらすのか。そうしたシンパシーや想像力が「サービス」の根本をなしています。

商品の高付加価値化が加速している現在の経済構造のもとでは、いわゆる「サービス産業」であるか否かに関わらず、こうした「サービス」の精神がすべての経営組織にとって不可欠となっています。そして「サービス」の精神は特定の顧客層だけに向けられるものではなく普遍的なものであり、それゆえにまず第一に組織の構成員相互の間において醸成される必要があります。すなわち、「サービス」=共感の原理に基づいて行動する企業とは、その外部だけでなく内部に対しても高度の感受性を維持しつつ、人々の「幸福」の創造を追求する組織であるといえます。

しかしまた、他者に対してそうした共感を抱けるかどうかは実はとても難しいことです。それゆえ、「サービス」は常にそうした感受性を喚起し、維持するしくみのデザインと稼働を必要としています。サービスデザイン研究所は、この点に関する多くのノウハウを蓄積し、かつ生み出すことによって、「サービス」の革新をめざしている組織であると考えます。日本の経済社会に対してサービスデザイン研究所が大きく貢献することをこころより期待しています。


本田 由紀
東京大学大学院教育学研究科教授
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私は10年たった今でも色あせないこの文章が大好きである。一見難しそうに見えるが、人への関心、愛情が詰まっていると感じるからである。

この後、私は大学院(MBA)へ行って「サービスマーケティング」「サービスマネジメント」について専門の勉強を始めることになるが、当時は『これからのサービスを変えたい!』という熱い想いだけのスタートだっただけに、未熟な面も多々あった。しかし、サービスデザインという言葉に何か新しい未来を感じた気持ちは、ずっと大切にしたいと思っている。

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サービスデザイン研究所
Service Design Institute
代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)













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